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ゲームやろうぜ!過去の記事 > 週刊やろうぜ!バックナンバー【第11回 06/01/17号】
 

クリエイターに聞け! RULE of ROSE編 第1回 有限会社パンチライン 石川周志/白組 花房真

石川周志氏(パンチライン)  『RULE of ROSE』ではディレクション、CGディレクションを担当。
花房真氏(白組)  『RULE of ROSE』ではアートディレクションを担当。
「RULE of ROSE」公式サイト

1930年代のイギリスを舞台に、子供たちの「禁じられた遊び」を描く『RULE of ROSE(ルール オブ ローズ)』。ゲーム全編を通じて精神的な恐怖を喚起する映像世界が展開される本作のディレクション、CGディレクションを担当した石川周志氏と、アートディレクションを担当した花房真氏に、ゲームと映像(ムービー)の関係を中心にインタビューを行った。

まずはお二人のプロフィールから聞かせてください。なぜ、映像やゲームのお仕事を始めたんですか?

花房:「スターツアーズ」のようなライドの映像が好きだったんですよ。僕が専門学生だった当時はライドがすごく流行っていて、渋谷にもライドがあったんです。椅子に座ると、目の前の大きい画面にCGが映るんですよね。ものすごく臨場感があって、この映像を作る仕事ができたら楽しいぞ、と思って。ただの映像とは違うものが作りたかった。ライドの映像は、その世界に入るという意味で、ゲームに近いところがありますしね。

石川:僕は学生のころに建築をやっていて、CADを使っていたんです。実は二級建築士の免許を持っています。

花房:ああ、それで建物にうるさいんだ(笑)。僕らが建物のCGを提出すると、すごく細かいチェックが入るんですよ。

石川:(笑)。CADを使っていたのでCGやゲームにも興味もあって、自然とゲームの仕事に近づいていったんです。僕は理系だったこともあって、プログラマーと話をするのが好きで。それで絵とプログラマーの間に立つ仕事に就いたわけです。

そもそも『RULE of ROSE』の企画はどんなところからスタートしたのでしょうか?

石川:白組とソニー・コンピュータエンタテインメントで面白いことをやろうというプロジェクトが進んでいて。そこにウチ(パンチライン)が企画、ゲーム制作として参加したんです。

花房:そうですね。今回、白組は映像だけじゃなくて、企画から参加しています。白組として、ゲームを作ることをやってみようという感じでした。

では、ムービー制作とゲーム制作という、明確な役割分担があるわけではないんですね。どのように企画を練っていったんですか?

石川:最初の段階ではストーリーも何もなくて、ただキーワードを出していったんです。「飛行船」や「子供」「束縛」という、既存の作品では使われない言葉ですね。

花房:やはり重要なキーワードは「子供」でしたね。ホラーゲームで「子供」を題材にしているものは少ないだろうし。夜中に子供が立っている怖さや、子供が棒で襲ってくる怖さを出していきたいと思っていました。そこから発展させていき、「童話」だとか、「女の子」というキーワードが出てきて。とくに女の子がいっぱい集まったときの気持ち悪さは、今回の大事なイメージでした。


物語の舞台である1930年代という時代は、どこから出たアイデアだったんですか。

花房:「飛行船」ですね。「飛行船」を出すために1930年代になったんです。

石川:すごく資料を探したよね。1930年代の資料って少ないんですよ。

花房:当時は、あまり古臭い時代じゃないんですよ。今とあまり変わらないから、何でもある。ガムテープもある(笑)。時代考証がすごく大変でした。絵を描くたびに調べて。

制作はどのような手順で進めていったんですか?

石川:絵が先行の場合も多いです。花房さんが「この女の子はこういう格好だろう」と、絵でどんどんアイデアを出してくれるんです。


花房真氏(白組)

花房:絵を先に進めるのは難しかったけれど、白組がゲーム作りにかかわったという意味が、そこにあるでしょうね。

石川:キーワードひとつで絵を描いてもらいました。かなり、絵に考えてもらう部分がすごくありましたね。絵に面白いアイデアが込められていると、そこを膨らましてゲームに反映して。いわゆるアートディレクションとは違う、もっと深い関わり方をしていただいたゲームでした。だから、普通のゲーム制作とは違います。企画とビジュアルが溶け込んでいるんです。

実作業では、役割分担があったんですか?


石川周志氏(パンチライン)

石川:もちろん、基本はゲーム部分をパンチライン、ムービーとゲームグラフィックの一部を白組が制作しているんです。でも、やはり企画でアイデアを出しあった強みで、ムービー側で先に作るキャラクターがいたんです。ハイポリゴンで作ったムービー用のキャラクターを、ローポリゴンに落としてゲーム用にしたり、ローポリゴンで作ったゲーム用のキャラクターを、ムービー用のモーションキャプチャーのデータに使ったり。ゲームとムービーの制作が同時進行したことで、データをうまく共有できて。いっしょに作った意義がありましたね。

光と闇のビジュアルが独特ですね。薄暗い、ランプのような明かりで。

花房:最初にムービーで基本のビジュアルを作ったので、正面からメインライトとして赤色を当てて、その背面から緑色を当てるというような、ムービーならではの補色のコントラストをかなり作っていたんです。

石川:花房さんがコントラストや色味の深さだとか、全体的に青色を加える絵作りをしていたので、それにあわせてゲーム画面の色を作っていきました。でも、ゲーム画面で光と影を作るのはすごく大変でしたね。処理速度の問題もあって、使えるライトはせいぜい3ポイント。画面のあちこちに光源を置けないんです。結局こちらでポリゴンの頂点に色を置いたり、テクスチャーに光と影を描きこんだりしました。

花房:なかなか雰囲気がでなくて、大変な思いをしました(笑)。


ムービーはとてもリアルタッチですね。リアルな映像の中で、どこに力を注ぎましたか?

花房:CGムービーに関していえば、肌や布の質感をリアルにすることは今までもやってきていること。ですから今回、一番挑戦したところは、モノとモノの触れ合い。肌と肌が触れるところは、今までのCGムービーではあまりしっかりと表現されていなかった。たとえば、女の子が手を握るところだとか、口紅を塗るときに唇が変形するところだとか、肌にネズミを押しつけられるところですね。同時に、作品のテーマとしても「モノとモノが触れ合う、気持ち悪さ」を追求したかったんですよ。最近の人は、友だち同士であっても、触れ合わないじゃないですか?

石川:あれ? そうなの?

花房:人を触るのってどことなく抵抗あるでしょ。物語中にアマンダっていう太った女の子が出てくるんだけど、この子が主人公にベタベタするんです。この気持ち悪さと怖さを出していきました。


CGで「接触」を描くことはすごく大変だと思いますが、そこはどうやって作りこんでいったんですか?

花房:根性ですね(笑)。アマンダが口紅を唇に塗るシーンは、ひとりのCGアニメーターがみっちりと作りこみました。

石川:ゲーム面でも、最初は物理演算を使って、スカートの揺れをリアルに計算していたんです。でも、リアルな計算だと変に見えるんですよ。いかにもゲームっぽい。そこで全部、手でアニメーションを付け直しました。最後はローテクです。


おふたりにとって、ゲームにおけるムービーの役割とはなんだと思いますか?

花房:ゲームでは世界観に感情移入することが大事だと思うんです。その手助けをするのがムービーですね。ムービーで盛り上げて、主人公になりきったうえでゲームがはじまれば、すぐに楽しめると思うんです。

石川:ムービーは情感を表現できると思うんですね。たとえば、涙や汗であるとか喜怒哀楽。ゲームでも表現できる部分がありますが、まだつたない。喜怒哀楽の感情をプレイヤーに持ってもらおうと思っても、なかなか伝わらない。ムービーで情感や世界観をプレイヤーに感じてもらって、ゲームに入ってもらえれば、それが一番スムーズだと思うんです。



"PlayStation 2"用ソフト
「RULE of ROSE」
2006年1月19日発売

次回予告

クリエイターが想像したイメージが具現化されることで誕生する新しい世界。その世界の中でインタラクティブな体験ができることがゲームの醍醐味の一つ。次回も引き続き、『RULE of ROSE』という特異な世界を生み出した両氏にお話を伺います。

お楽しみに!

 

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